T34/85 色彩「十変化」

      2021/11/20

動画もアップしています。

前の記事⇒ドラゴンのT-34/85を作ります!

戦車の色彩、色変化(へんげ)

昔、『Hobby Japan』誌の「松本州平のドライブラシ講座」特集のタイトルが、たしか「州平のドライブラシ七変化」だったんですね。

今回は、そのタイトルを真似て現在制作中のドラゴンのT34/85の「十変化」でいきたいと思います。

まずは、組み立てが終了した状態。

細かな部品が多くて苦労した~。
いままでは、タミヤのT-34やソビエト戦車をいくつか作ってきたのですが、いやはやタミヤの凄さは「省略の妙にあり」ということをドラゴン社製のプラモを作ってまざまざと思い知りました。

いうなれば、タミヤの場合は、もちろん実車のパーツや備品を縮小して模型化していることは言うまでもないのですが、組み立て安さを重視しているように感じます。

「作り手ファースト」というか、あくまでキットを作っている人目線に立ったパーツ分割をしているように感じます。

それに対して、ドラゴンの場合は、あくまでリアリティ追求。
作りにくいかもしれないけれども、実際の車両はこういう部品がこんな感じでくっついているから、頑張って作ってね!って感じ。
そのために、こちらとしては小さくて作りにくいかもしれないけれども、一応、パーツは準備したから、あとはモデラーの君たちの腕の見せ所じゃないか!という感じですね。

タミヤのキットの場合は、あまりにも細かな部品にならざるを得ない個所は、そこまでは、よほどのマニアでない限りは追求されないだろうというところは、実車の雰囲気を損なわないよう、思いきって省略していることがある。

もしそれでも気になる人は、あとは各自でディティールアップしてねという余白を設けてくれている。

このあたりに、それぞれのメーカーのコンセプトの違いのようなものが垣間見れて興味深いかなと思っています。

一変化

さて、組みあがったキットに黒のサーフェイサーを吹きました。

これで「一変化」ですね。

まんべんなく塗布しようとはまったく考えていません。
サーフェイサーの缶を横に移動させながら、シュッ、シュッ!と一回塗り。
時間にして10秒かかっていないんじゃないかというくらいの素早さです。

二変化

30分ほど乾かした後、次はマホガニーのサーフェイサーをこれまた秒速で吹きます。

前回、黒が乗らずにプラスチックの地肌をめがけてシュッと吹くと、その周囲にじんわりと茶色が乗ってくれて、黒なんだか茶色なんだかわからない微妙なマージナルゾーンが生まれてくれます。

これがまた見ていて楽しいんですよね。

さて、これで「二変化」。

この状態で30分~1時間ほど乾燥させます。

三変化

お次はオキサイドレッドのサーフェイサーを吹きます。

スプレーの粒子が行き届かず、プラスチックの地肌が露出している個所がまだ数か所あったので、そこをめがけて、秒速クイックリーでしゅっ!と吹きました。

これで「三変化」。

塗りつぶそうと考えてはいけません。

あくまで、プラスチックの地肌をなくすことが目的です。
単一の色で塗りつぶすよりも、色々な色が下地にあったほうが楽しいじゃんという、ただそれだけの考えで進めています。

四変化

お次の「四変化」目からは、いよいよ大きな変化が。

血迷ってはいないんですが、何を血迷ったか、キャラクターブルーを吹いています。

理由は単純で、あまり使い道のないキャラクターブルーのスプレーが「余っていたから」というだけの理由です。

最終的には緑っぽい色にしたいと考えているのですが、下地に青も悪くはないかな、と。

これで「四変化」ですね。

これも、しばらく乾かします。

五変化

「五変化」目は、艦底色を吹き付けました。

主に足回りを中心に吹き、土ぼこりやサビっぽい表現が出来ればと思ったのですが、青の上に吹く艦底色は、なんだかピンクっぽい茶色に見えてしまいますね。

これで「五変化」。

六変化

次は、つや消し黒を吹いて、茶色ピンクっぽさを少々和らげてみました。

これで「六変化」ですね。

なんだかたくさんの色を吹き付けて面倒くさい作業だと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、使用しているものはすべて缶スプレーなので、よく振って、キャップをあけて、シュッと吹くだけの作業なので、時間的にはひとつの作業に対して30秒も経っていません。

吹き付けている時間なんて、それこそ数秒だけです。

おまけに缶スプレーなので、エアブラシのように面倒な掃除もいらないことが嬉しいですね。

さて、缶スプレーコーナーはここまで。

お次はMr.ウェザリングカラーを使ったフィルタリングのフェイズに移ります。

七変化

Mr.ウェザリングカラーのフィルタ・リキッド・フェイスグリーンを全体に筆塗りしました。

水辺からヌルりと這い出たアナコンダのようです(想像)。

これで「七変化」。

Mr.ウェザリングカラーには専用のうすめ液があるのですが、今回は使用せず、原液のまま塗っています。

八変化

グリーンのウェザリングカラーを1日かけて乾かし(正確には半乾き状態でしたが)、その上からフィルタ・リキッド・フェイスグリーンにフィルタ・リキッド・イエローとマルチホワイトを微量に混ぜた液体を上塗りしました。

履帯、転輪などの足回りには、ウェザリングカラーのグレイッシュブラウンを筆でたたきつけるように塗っています。

これで「八変化」。

九変化

フィルタリングで塗ったウェザリングカラーがなかなか乾かなくて、4~5日間、ベランダの風通しの良さそうな場所で放置していました。

ま、それはそれで仕方ない。
ウェザリングカラーは油彩ベースの塗料ですからね。
乾くの遅いのは当然といえば当然。

ある程度乾いたかな?というタイミングを見計らって(それでも完全に乾ききっていない感触)、デカールを貼りました。

デカールです。

デカールを貼ったら、こんな感じになりました。

鋳造モールドの砲塔に馴染むよう、マークソフターを上からびしゃびしゃ塗りつけて、約1日ほど放置しました。

これで「九変化」。

十変化

デカールが乾いたら、油彩で汚しをかけました。

バーントシェンナを基本に、排気口や方針のスス汚れにはピーチブラック、サビの表現にはカドミウムオレンジをターペンタイン(テレピン油)で溶いたものを塗り伸ばしてます。

ターペンタインは、着け過ぎると、エナメル系塗料ほどではないんですが、パーツをポキリと破損させてしまうこともあるので、少量ずつ筆にふくませて伸ばしていったのですが、それでも、やってしまいました。
手すりがポロリと取れてしまったので、あわてて瞬間接着剤で修理。

最後は、アイボリーホワイトで車体側面は砲塔の上部などをハイライトとして塗り伸ばしました。

これで「十変化」。

というより、T-34/85の完成です。

乾かす時間が長引くのは仕方ないのですが、まあまあ時間がかかっちゃった感じです。

ソビエト戦車といえば、緑なのですが、日差しなどで黄色の成分が飛んでしまい(そんなに北国ロシアは日照量あるっけ?)、青っぽい色味が残った戦車という脳内妄想でブルーを基本色としてみたんですが、うまくいったかなぁ?
(あとは、使い道のないキャラクターブルーのスプレーを早く使い切ってしまいたいということも大きな理由ではありますが)

仕上げに使ったアイボリーホワイトで、なんとなくクタビれた褪色感が少々でも出てくれたのかな?と思えば、まあまあ満足な仕上がりになったと思います。

完成した車体をいろいろな角度から撮影した画像は、また別記事にアップしたいと思います。

記:2020/06/03

続きの記事⇒ブルー・イン・グリーンなドラゴンT34/85

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