神話、おとぎ話、昔話の無い国は亡びる~松居友『昔話とこころの自立』
2018/07/06
昨今の中国が思い浮かぶ
「神話のない国は亡びる」。
忘れてしまったのですが、どこかの国に、このような内容の諺(格言?)あるのだそうです。
神話といえば、まっさきにギリシャ神話を思い出します。
日本で言えば、『古事記』や『日本書紀』などに収録されている物語などがそれにあたるのでしょうか。
いずれも、現代人の価値観からすれば、ちょっと突飛すぎる話だったり、理不尽な話だったり、
いったい何が言いたいのだろうか?と疑問に思うものも少なくありません。
しかし、だからこそ、物語が持つ不条理さや、ワケの分からなさが、小さな子どもの深層心理に深く入り込み、大人になってからの、善悪の基準やモラル、さらに行動規範につながっていくのかもしれません。
神話ではないかもしれませんが、「桃太郎」や「かぐや姫」のような「むかし話」も、それに値するのかもしれませんね。
このようなストーリーは、だいたいがお父さんやお母さんよりも、お爺ちゃん、お婆ちゃんのようなお年寄りから寝物語で聞かされることが多いですね。
しかし、現在は核家族化の進んだ世の中。夫婦共働きの家庭も都市部には多いです。
だから、昔の子どもよりも、今の子どももほうが「昔ばなし」や「神話」を訊く頻度は低いのではないかと思います。
そのような子どもが大人になったら?
いや、もう既に大人になっている人が大量にいると思いますが、まったく「昔ばなし」を知らないまま大人になったという人の人口が増えたとしたら、どこかの国の諺どおり、滅びの危険性が出てくる??
そんなワケはないと思いたいものですが、そういえば、昔の中国には面白い昔話やおとぎ話はあったのでしょうが、毛沢東の文化大革命以降の共産党一党独裁国家となった中国には、このような「昔ばなし」や「おとぎ話」がきちんと次の世代に伝承されているのでしょうか?
もしかして、尖閣諸島問題や、中国漁船サンゴ密漁問題など、とにかく根こそぎ奪えるものなら奪ってしまえ的なマインドを持つ現在の中国人には、「むかし話」が欠如している?
だとすると、「神話のない国は亡びる」。
こういうことにも繋がっていくのかもしれません。
昔話にはなぜ「3」が多い?
そんなことを考えていたら、昔読んだ松居友・著の『昔話とこころの自立』を思い出しました。
子どもはなぜ残酷な話に爽快感をおぼえるのか?
『三匹のやぎのがらがらどん』や『三匹の子ぶた』など、なぜ「三」という数字が出てくる昔話が多いのか?
おじいさん、おばああさんによって育てられる主人公が多いのはなぜか?
などなど、「言われてみれば、たしかに。なぜだろう?」と思えるような興味深いテーマから入り、昔話の重要性を深層心理学的なアプローチで語られています。
教育者や、幼い子を持つ親のみならず、本好きでジャンルを問わず面白いテーマの本なら何でもモリモリ読んじゃいます!という人にもオススメです。
記:2014/12/19